安全性の追求
欧州臨床試験(3ヵ月間)における安全性評価
‒シクロスポリンとの比較‒1) 3)
- 最もよく認められた有害事象は嘔吐および下痢であり、その発現率は、サイトポイント®群の方がシクロスポリン群よりも低いことが確認されました。
- サイトポイント®群の血液学的検査値および血液生化学的検査値において、臨床的に意義のある変化は認められませんでした。
試験期間中にサイトポイント®群で2%以上の頻度で認められた有害事象
サイトポイント®群(N=142) 頭数(%) |
シクロスポリン群(N=132) 頭数(%) |
||
---|---|---|---|
消化管障害 | 嘔吐 | 22(15.5%) | 49(37.1%) |
下痢 | 19(13.4%) | 47(35.6%) | |
全身的障害 | 元気消失 | 14(9.9%) | 11(8.3%) |
食欲不振 | 7(4.9%) | 5(3.8%) | |
高熱 | 3(2.1%) | 0 | |
皮膚及び付属器障害 | 細菌性皮膚感染症 | 10(7.0%) | 1(0.8%) |
皮膚炎及び湿疹 | 8(5.6%) | 6(4.5%) | |
掻痒 | 6(4.2%) | 9(6.8%) | |
紅斑 | 4(2.8%) | 1(0.8%) | |
脱毛 | 3(2.1%) | 0 | |
耳及び迷路障害 | 外耳炎 | 8(5.6%) | 4(3.0%) |
外耳疾患NOS | 4(2.8%) | 1(0.8%) | |
耳炎NOS | 4(2.8%) | 5(3.8%) | |
筋骨格筋障害 | 跛行 | 3(2.1%) | 1(0.8%) |
NOS:not otherwise specified(特定不能)
欧州臨床試験における
長期投与(9ヵ月間)の安全性評価1) 3)
- 欧州において、3ヵ月間の比較臨床試験のあと、 さらに6ヵ月間サイトポイント®が継続投与され、最長9ヵ月間の長期の安全性が確認されました。
- 投与直後の過敏性反応※(膨疹、嘔吐など)は認められませんでした。
※サイトポイント®の有効成分は蛋白質であることから、他の免疫学的製剤と同様、過敏性反応が生じる可能性があります。こうした反応が生じた場合は、遅延なく適切な対症療法を行ってください。 - 1頭で投与後に疼痛が認められましたが、注射部位反応(腫脹、発赤など)は認められませんでした。
米国臨床試験(42日間)における
安全性評価 ‒プラセボとの比較‒1) 3)
- 認められた有害事象の頻度はプラセボ群と同程度でした(掻痒を除く)。
- サイトポイント®群の血液学的検査、血液生化学的検査および尿検査で投与に関連する有害事象は確認されませんでした。
- 膨疹や嘔吐、アナフィラキシー等の即時性の過敏性反応は認められませんでした。
試験期間中にサイトポイント®群で2%以上の頻度で認められた有害事象
サイトポイント®群(N=162) 頭数(%) |
プラセボ群(N=83) 頭数(%) |
|
---|---|---|
外耳炎 | 21(13.0%) | 10(12.0%) |
皮膚炎および湿疹 | 16(9.9%) | 11(13.3%) |
細菌性皮膚感染症 | 15(9.3%) | 10(12.0%) |
紅斑 | 13(8.0%) | 4(4.8%) |
嘔吐 | 12(7.4%) | 9(10.8%) |
食欲不振 | 10(6.2%) | 4(4.8%) |
元気消失 | 9(5.6%) | 5(6.0%) |
掻痒 | 8(4.9%) | 16(19.3%) |
下痢 | 6(3.7%) | 4(4.8%) |
脱毛症 | 4(2.5%) | 6(7.2%) |
外部寄生虫(ノミ) | 4(2.5%) | 2(2.4%) |
試験設計
米国の14の動物病院における犬アトピー性皮膚炎に罹患した犬を対象に、サイトポイント®の安全性評価を無作為化盲検試験により実施した。サイトポイント®群(162頭)にはロキベトマブとして1.0~3.3mg/kgを、対照群(83頭)にはプラセボ溶液を0および28日目に皮下投与し、42日目まで観察した。
対象動物安全性試験:7回反復皮下投与1)
- サイトポイント®の常用量および3倍量の1ヵ月間隔での7回反復皮下投与した時、高い忍容性が確認されました。
試験設計 | 4ヵ月齢のビーグル犬雌雄各6頭の1群12頭として、常用量群(最大実投与量として3.3mg/kg)、高用量(常用量群の3倍量、基準量1mg/kgの10倍量として10mg/kg)、および対照群(生理食塩水を高用量群と同量投与)の3群を設定し、毎月1回計7回(0,28,56,84,112,140及び168日目)皮下投与した。 |
観察項目 | 一般状態観察、獣医師による臨床観察、体重、摂餌量、血液学的検査、血液生化学的検査、尿検査、器官重量、剖検 |
結果 | 病理学的所見:異物投与による非特異的でごく軽度な局所的な反応が認められました。 |
免疫原性の評価1)
- サイトポイント®の犬での免疫学的寛容※は良好であると考えられました。
- 開発に伴う各種試験において、サイトポイント®が投与された計521頭の犬のうち、7頭(1.3%)が抗ロキベトマブ抗体陽性でした。
- 7頭のうち3頭は有効性について評価され、そのうち有効性の減弱が認められた犬は1頭のみでした。
- 抗薬物抗体産生と関連のある有害事象は認められませんでした。
- 各種試験を通してアナフィラキシー反応は認められませんでした。
※特定の抗原に対して免疫反応が起こらない状態のこと。
参考文献
1):国内承認申請資料
3):H. Moyaert, L. B. Brussel, S. Borowski, et al. A blinded, randomized clinical trial evaluating the efficacy and safety of lokivetmab compared to ciclosporin in client owned dogs with atopic dermatitis.
Vet Dermatol 2017; 28: 593–e145
4):G. M. Michels, K.F. Walsh, K.A. Kryda, et al. A blinded, randomized, placebo-controlled trial of the safety of lokivetmab (ZTS-00103289), a canonized anti-canine IL-31 monoclonal antibody in client-owned dogs with atopic dermatitis.
Vet Dermatol 2016; 27: 505–e136
臨床試験における安全性評価
- 試験期間中の有害事象発現率は試験群7頭(11.5%)及びプラセボ群9頭(14.5%)でほぼ同等であった。
プラセボ群では効果不十分(皮膚炎の悪化)によりレスキュー治療を受けた症例が15頭(24.2%)であったのに対し、試験群では4頭(6.6%)であった。
サイトポイント®は、抗体医薬
- 特定の分子のみを標的とするため、副作用リスクが軽減される。
- 代謝・排泄は通常のタンパク分解経路を介して行われ、正常な肝機能・腎機能に依存しない。
- アポキル錠を含む一般的な薬剤との併用の制限なし/併発疾患を持つ犬での制限なし
- 齢制限なし
- 正常な免疫機能への影響も最小化