変形性関節症は疼痛、炎症および跛行を主訴とする関節の疾患であり、罹患関節を変形させ、機能を低下させる慢性疾患である1)。本症を発症した動物に対して栄養学的管理などの代替的なものを含め、多くの治療法が使用されてはいるが、根本的な治療法はなく、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や鎮痛剤による病態修飾治療が主体となる2)。NSAIDsは、アラキドン酸から炎症性エイコサノイドやトロンボキサンを生成するシクロオキシゲナーゼを阻害することで抗炎症性作用を発現する。慢性疾患である犬の変形性関節症に対するNSAIDsの使用法、特に長期間の継続した投与の有用性についても注目されるようになってきた2)。
関節の機能維持・改善には、“関節を動かすこと”が重要である。疼痛はその基本的な運動を阻害するだけでなく、周囲の軟部組織を委縮させる、短期間のNSAIDs投与では疼痛による直接的な不快感を排除するが、それをさらに長期間投与することで、活動性の劇的な改善、関節運動の許容による関節機能の回復、及び関節変化の進行を遅らせる可能性がある。犬750頭を用いたNSAIDs投与の検討では、短期的な鎮痛効果が確認できる投与14日目に明らかな臨床症状の改善がみられたものが65.7%だったが、投与80日目には73.5%に増加することが示された3)。また、床反力を用いた客観的な評価法を用いた検討においても、変形性関節症を発症した犬でNSAIDs投与30日目と投与60日目の明らかな歩行の改善が確認されている4)。
長期感のNSAIDs投与においてどのように安全性が評価されているか?データベース上で犬の変形性関節症に対して28日間以上NSAIDsが投与された14の症例群研究に記載されていた安全性に関する成績を分析した研究では、投与期間の延長と副反応の発現に有意な関係はみられなかった2)。より多くの症例を用いた総合的な検討や個体ごとの注意は必要であるが、慢性疾患である変形性関節症を発症した犬に対するNSAIDsの長期間投与は、安全性に関連したリスクも少なく、より大きな効果が見込める治療法になりうると期待される。
1)Johnston, SA (1997) Osteoarthritis, Joint anatomy, physiology and pathobiology. Vet Clin North Am. Small Anim Ptact.27, 699-723.
2)Innes JF, Clayton J, Lascelles BD (2010) Review of the safety and efficacy of long-term NSAIDs use in the treatment of canine osteoarthritis. Vet Rec 166, 226-30.
3)Moreau M, Lussier B, Doucet M, Vincent G, Martel-Pelletier J, Pelletier JP (2007) Efficacy of licofelone in dogs with clinical osteoarthritis. Vet Rec 160, 584-8.
4)Moreau M, Dupuis J, Bonneau NH, Desnoyers M (2003) Clinical evaluation of a nutraceutical, carprofen and meloxicam for the treatment of dogs with osteoarthritis. Vet Rec 152, 323-9.
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ゾエティス・ジャパン(株)調べ :
2015年4月インターネット調査 獣医師さま157名 /
2015年6月インターネット調査 犬の飼主さま104名
飼主さまに投薬遵守について聞いた場合、誰が聞いたかによって飼主さまの答えが違ってきます。
医師さまが聞くとコンプライアンス不良の数値は低くなり、看護師が聞くと高くなる傾向にあります。
出典/青砥広幸ら : 病院薬学 1999;25:22−27
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