01概要
マンヘミア ヘモリチカの細菌学的特徴
- ・12の血清型:A1,A2,A5,A6,A7,A8,A9,A12,A13,A14,A16,A17
- (文献)
- ・病原因子
-ロイコトキシン:白血球の破壊
-LPS:出血、浮腫、低酸素血症、急性炎症
-ノイラミニダーゼ:気道粘液の粘度を低下
-アドへシン:吸着因子
BRDCの一次病原体
マンへミア ヘモリチカは、呼吸器病の一次的原因となり得る病原菌であり、特に重篤な症状によりへい死に至らしめる要因となります。
血清型別分離頻度
血清型は1型が主流で、6型が次に多い割合と報告されています。
マンへミア ヘモリチカは肺組織の損傷を引き起こします
マンへミア ヘモリチカは白血球を破壊するロイコトキシンと呼ばれる毒素を放出します。白血球が破壊されると、本来細菌を殺滅するための酵素が放出され、肺組織を破壊してしまいます。この一連の流れを繰り返すことで、病変が進行していきます。
急性で重度の肺炎を引き起こし、へい死に至らしめることもあります
カナダ西部の17農場で死亡した99頭を検査したところ、急性肺炎ではマンへミア ヘモリチカが重要な病原体であることがわかりました。
- 方法:
- ・ カナダ西部のフィードロット17農場で死亡した99頭を供試
- ・ 肺病変及び治療履歴より基急性、急性、亜急性、慢性に分類
- ・ 各分類における病原体の免疫組織染色による陽性率を調査
02発生と原因
ストレスやウイルス、マイコプラズマ ボビス感染に伴い、病原性を発揮します
マンヘミア ヘモリチカは鼻咽頭や扁桃に常在していますが、健康な牛では必ずしも症状を呈するわけではありません。実際に、健康な子牛でのマンヘミア ヘモリチアカ吸入試験では、吸入後まもなく菌は排出され発症することはありませんでした。
健康牛におけるマンへミア ヘモリチカ吸入後のクリアランス試験
- 方法:
- ・ 健康な2~4ヵ月齢のホルスタイン種を供試吸入用チャンバーを用いて、マンヘミア ヘモリチカを吸入
- ・ 吸入後0、2、4、6、8時間に牛を安楽死させ、肺ホモジネート中のマンヘミア ヘモリチカ菌量(CFU)を測定
しかし、移動、寒冷、飼育環境の変化などのストレスで血中コルチゾールが増加し、免疫機能が低下します。また、マイコプラズマなどの他の病原体に感染することで粘膜や線毛などの生体防御機構が破壊されてしまいます。結果として生体と病原体のバランスが崩壊し、マンへミアが病原性を発揮します。
マンへミア ヘモリチカ病原性発現におけるBHV-1
(牛ヘルペスウイルス1型:IBR)の重要性
牛にBHV-1単独感染、マンヘミア ヘモリチカ単独感染、BHV-1感染後にマンヘミア ヘモリチカ感染させた計3群における、気管支肺胞洗浄液中のエンドトキシン量を測定したところ、単独感染と比較し、BHV-1感染後にマンヘミア ヘモリチカ感染させたケースではエンドトキシン量が著しく増加したことがわかりました。
- ・ BHV-1単独感染
- ・ マンヘミア ヘモリチカ単独感染
- ・ BHV-1感染後マンヘミア ヘモリチカ感染
感染様式
03対策方法
適切な抗菌剤による早期の治療が有用です
- 治療にあたってのポイント
- 1.早期に治療を開始し、症状が改善してから少なくとも1〜2日間は治療を継続すること
- 2.マンへミア ヘモリチカに有効な抗菌剤を選択すること(耐性化傾向のない抗菌剤を選択)
- 3.適切な投与経路、投与量を用いること
- 4.基本的に1種類の抗菌剤のみを使用すること
- 5.飼育環境や栄養状態の改善も必要
- 6.経口補液などの補助療法も必要なケースがある
(M. Irsik: University of Florida Extension VM163, 2010)
マンへミア ヘモリチカには「セフチオフル」
国内外でマンへミア ヘモリチカの薬剤感受性を測定したところ、セフチオフルに対して高い感受性を示しました。
アイオワ州立大学動物診断研究所(VDL)に持ち込まれた検体のマンヘミア ヘモリチカの各抗菌剤に対する感受性割合。
- セフチオフル製剤について
- ・エクセーデC
- ・エクセネルRTU EZ
早期発見が困難なため、罹患前の予防も重要
早期の治療が有用であると同時に、早期発見が困難であることも事実です。
そのため、罹患前の予防が重要になります。
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