01はじめに
牛の呼吸器病(BRDC)では様々な病原体による複合感染が一般的であり、単独感染時より病変あるいは病状が重篤化するという種々の報告があります。今回、2つの試験によりマイコプラズマ ボビス(Mb)とマンヘミア ヘモリチカ(Mh:旧名称パスツレラ ヘモリチカ)の感染順序による肺病変および臨床症状における重篤度の違いを検討しました。。
02試験1
感染順序による重篤度の違い
材料及び方法:2週齢のノトバイオート子牛*2頭にマンヘミア ヘモリチカ血清型1型(8mL:107~8cfu/mL)およびマイコプラズマ ボビス(8mL:108cfu/mL)を2日間のインターバルにて感染順序を変えて鼻腔内接種し、約1週間後に剖検して肺病変面積を比較しました。
*保有している微生物が明らかな実験用子牛
03試験2
マンヘミア ヘモリチカの強度感染とマイコプラズマ ボビス感染順序による重篤度の違い
材料及び方法:5~9週齢の一般子牛8頭にマイコプラズマ ボビス(8mL:108cfu/mLおよびマンヘミア ヘモリチカ血清型1型(8mL:107~9cfu/mL)を同時あるいはマイコプラズマ ボビス接種の翌日にマンヘミア ヘモリチカを接種し、約1週間後に剖検して肺病変面積を比較しました。
04結論
マイコプラズマ ボビスを最初に感染させた後にマンヘミア ヘモリチカを感染させた方が、その逆の感染順序または同時感染によるものより、臨床症状が重篤であり、肺病変面積も大きく重篤でした。
マイコプラズマ ボビスは牛呼吸器病の基礎疾患として重要な役割を果たしていることが示唆されました。マイコプラズマ ボビスをコントロールすることにより、牛呼吸器病をコントロールしやすくできる可能性があります。
(出典:Gourlay, R. N. et al.: Res Vet Sci 38(3): 377, 1985)