01はじめに
- 呼吸器感染に対する牛の生体防御では、
- 1.気管支の線毛や粘液による物理的防御
- 2.好中球やマクロファージによる非特異的な自然免疫
- 3.リンパ球を軸とした特異的な獲得免疫
- が重要です。
マイコプラズマ ボビスはこれらの防御機構をかいくぐり、他病原体による二次感染や慢性化を助長します。今回、マイコプラズマ ボビスによる自然免疫の抑制メカニズム及びその対策の可能性を示します。
02自然免疫の重要性
マイコプラズマ ボビスに対する自然免疫の重要性
マイコプラズマ ボビスに対する生体の初期応答として自然免疫は重要な役割を果たしています。マイコプラズマ ボビスに暴露されても、免疫応答が正常に働くことで恒常性を保ちます。
03自然免疫の抑制
マイコプラズマ ボビスによる自然免疫の抑制
- マイコプラズマ ボビスによる好中球の機能抑制
- • 貪食能の低下
- • NETSの形成阻害(写真):菌量に依存
NETSを放出している好中球(赤枠)
マイコプラズマ ボビスによるNETS形成阻害
マイコプラズマ ボビスの暴露量の増加やストレスによって、自然免疫応答は抑制されます。
結果として、マイコプラズマ ボビス は下部気道や耳管へ侵入、感染が成立し、発症に至ります。
(出典:Gondaira, S. et al.: Veterinary Microbiology 199: 68, 2017)
04対策の可能性
- 1.飼養管理の改善
- ・ ストレスを軽減させる
- ・ 洗浄・消毒により環境中のマイコプラズマ ボビスの菌量を低減させる
- 2.自然免疫の活性化:生体の初期応答を向上させる
- 3.症状発現後の早期発見と早期治療:マイコプラズマ ボビスの菌量を軽減させる