01はじめに
本疾病の治療ではタンパク質合成やDNA阻害をターゲットとした抗菌剤が一般に用いられますが、近年、これら薬剤への耐性化が問題となっています。今回、日本で分離されたマイコプラズマ ボビス(Mb) のシークエンス型(ST)の経年推移と薬剤感受性の変化について紹介します。
02調査
1.日本分離株のSTの推移:1993年~2018年までに分離されたMbのシークエンス解析を行い、各分離株がどのSTグループに属するかを調査しました。
2000年以前はST17グループがメインでしたが、2000年以降はST5グループヘシフトしています。
2. STグループと薬剤感受性:日本で分離されたST17、ST68及びST5グループに対する各抗菌剤の最小発育阻止濃度(MIC)を微量液体希釈法により測定しました。
テトラサイクリン系に対してはいずれのグループも耐性化傾向を示していました。一方16員環マクロライド系に対しては、ST17は感受性を維持していましたが、STSは耐性化傾向を示していました。
03まとめ
現在日本で主に流行しているマイコプラズマ ボビスはST5グループではテトラサイクリン系や16員環マクロライドに対する耐性が認められました。マイコプラズマ ボビス感染症の治療では適切な薬剤選択が治療成功率を上げるとともに、総薬剤使用量の軽減にもつながることが推測されます。
(出典:Hata, E. et al.: Applied and Environmental Microbiology 85(13): 2019)