01はじめに
感染症治療にあたって抗菌剤を選択する際は、タ ーゲットとする細菌の薬剤感受性を調べることが重要です。しかしながら、マイコプラズマ ボビス(M. bovis)では、ツラスロマイシンに対する薬剤感受性結果と臨床効果に相関がないとされており、米国臨床検査標準化委員会(CLSI)でもプレイクポイントが設定されていません。一例として、下記のような試験を実施し、ツラスロマイシンの有効性を比較検討してみました。
02方法
3〜9週齢の乳用子牛を供試し、ツラスロマイシンの最小発育阻止濃度(MIC)が1µg/mLまたは64µg/mL以上のM.bovis株を別々に人工感染させ、4日後にツラスロマイシンまたは生理食塩水を投与し、投与後の体温推移及び投与後14日目の肺病変の比較をしました。
低感受性群、高感受性群いずれにおいてもツラスロマイシン投与により、M.bovis感染による発熱及び肺病変を同様に軽減しました。
04まとめ
M.bovisの感受性の高低にかかわらず、ツラスロマイシンは有効であることが示されました。これはツラスロマイシンの持つ以下の特長によるものと考えられます。
・肺組織への高い移行性
・肺胞マクロファージや好中球への蓄積
・抗炎症効果
・生体内(血清存在下)におけるM.bovisのツラスロマイシンに対する感受性の変化(増大)
(出典:Godinho et al., Veterinary Therapeutics 6(2):96, 2005)