養豚場経営において、深刻な脅威となる病原体のひとつである豚サーコウイルス2型(以下PCV2)。2000年代後半にはワクチンが登場し、世界各国でその発症や経済的被害を「ある程度」抑えることが可能になりました。しかし、PCV2は非常に頑強なウイルスであり、至るところに存在します。さらに典型的なDNAウイルスとは異なり、高い頻度で変異することが今日までの研究で判明しています。現在、PCV2は「8つの遺伝子型(a~h)」に分類されていますが※、その中でもPCV2d(d型)はアメリカ合衆国で大きく広まり、いまや世界的にも優勢な遺伝子型となっています。そして近年では、日本国内においてもd型のまん延およびその脅威が、より深刻化しつつあると言われています。※出典 : Franzo G, Segalés J, PLoS ONE, 13(12): e0208585 (2018)
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豚サーコウイルス(PCV)にはPCV1(1型)とPCV2(2型)があります。PCV1が無害である一方、PCV2は体重減少や貧血、腎不全などさまざまな症状を引き起こす原因となります。さらにPCV2は変異しやすいという特徴が顕著に見られ、aからhまでの複数の遺伝子型が今までに確認されています。その中で現在はどの型が優勢か(まん延しているか)を見極め、その型に対して効果の高いワクチンを用いることが重要と考えられます。
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従来のPCV2ワクチンは、1つの株(PCV2a)を抗原として持つものでした。しかし変異したウイルスに対抗するためには、より近い株を付加すること、つまりワクチンに含まれる抗原の種類を複数に増やすことがポイントとなります。